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『capeta』(曽田正人)・25巻 

capeta(25) (講談社コミックスデラックス)capeta(25)
(講談社コミックスデラックス)

(2011/07/15)
曽田 正人

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同じ作者の作品ということで、帯も含めて先月発刊の『MOON』とタイアップして売り出している。だからこそ、この場面には驚いた。

高校を辞めようかと話すカペタを諭す源奈々子。今やレーシングスポーツはそれを生業とする人と企業が増えたがゆえに、一般社会との接触なしにレースをすることは出来やしないのだと。それは、確かにその通りなのかもしれない。
だけど一方で、わざわざ、こんな台詞を交えているのである。

奈々子「これがたとえばキミやナオミが、音楽家とか芸術家いうんなら話はべつや。バレリーナ目指す子なんかも高校行かんで渡欧したりするしな。ばっさり一般社会の感覚と決別して道を究めるんも悪ない。他の道を閉ざし、ひとつのことに打ち込むことで芽ばえる狂気みたいなもんこそアートの源泉なんかもしれんな」

なぜ、この台詞に強い意味があるか。それはまさに『MOON』との関係である。カペタの歩む道は、奈々子の言う通り、一般社会の感覚とかけ離れたものであるべきではないのかもしれないが、宮本すばるの歩む道はそれと全く違うものだと書いている。作者は意識的に両者を区別し、それを作品の中で明示したことも意図的ではないかと思う。

『capeta』と『MOON』は、前者の方がシンプルに出来ている。レーシングスポーツ自体の複雑さがあるとはいえ、その世界の中での描写は、むしろ現実的かつ王道的と言えると思う。
だけど後者は、それと同じものを描くつもりはさらさら無いのだと、改めて感じた次第。

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