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2016-17NBAファイナル:展望 

 今シーズンのNBAファイナルは3年連続でウォリアーズvsキャバリアーズの組み合わせとなった。


 ウォリアーズは西カンファレンスを12戦全勝。状況を考えれば不思議ではないが、もちろん多少の幸運もあった。

 西カンファレンスは激戦だったとはいえ、サンダーをロケッツが、ロケッツをスパーズが打ち破るのを横目に、自身はナゲッツとジャズという比較的プレイオフの経験が少ないチームを相手にカンファレンスファイルまで進むことができた。
 そして何より、カンファレンスファイナル第1戦のクワイ・レナードの負傷。あの場面でパチュリアが意図的に足を入れたとは微塵も思わないが(パチュリアはファウルの瞬間に既に目を切っているし、直後にファウルのコールに対して抗議している。故意であることはレナードも否定している)、今年のスパーズを誰よりも支え、ウォリアーズを散々苦しめてきたレナードの欠場はウォリアーズをあまりに勇気付けた。ウォリアーズは第1戦までに試合間隔が開いて試合勘を失っていた感があったが、前半を大きくリードされたチームがレナードがベンチに下がるや否や、18-0のラン。シュートタッチには精神的安定が何よりもものを言う。
 レナードを失い、そしてボールハンドラーのパーカーをも既に失っていたスパーズは、逆に精神的に追い詰められた。レナードの怪我に対して第1戦後にポポビッチHCは怒りを顕にしたのだが、これがむしろ逆効果だったように思う。「レナードの怪我をそんなにも痛手に思っているのか」ということが透けて見えてしまったからだ。スパーズの第2戦には全くいいところが無かった。

 それでも、スパーズはホームに戻り、第3戦・第4戦でシモンズやマレーといった若手のほか、大ベテランのマヌ・ジノビリが意地を見せた。特にマヌは攻撃面で往年の力を発揮。一方で守備はもう体がついていかない感があったが・・・。
 ウォリアーズは攻撃もさることながら、ドレイモンド・グリーンのインサイドの守備における圧力が凄く、身長に勝るオルドリッジやガソールをリングに近付けなかった。

 ウォリアーズはここまで万全。最も深刻な負傷はカーHCだが、ベンチ裏には控えているという。
 


 一方の東カンファレンス王者、キャバリアーズ。こちらの方こそ、力関係から容易な勝ち抜けが予想されていた。
 カンファレンスファイナルまで8戦全勝。ペイサーズやラプターズに短期決戦でアップセットを起こすほどの爆発力や経験はなく、比較的組み易い相手だったように思う。ラプターズはラウリーを欠き、デローザン一人でレブロンを駆逐するのはあまりに困難なミッションだった。

 そもそも、キャブスがレギュラーシーズンの勝率でセルティックスの後塵を拝した(30敗もした)ことが驚きであった。セルティックスはそれほど凄い戦力が揃っているというわけでもなく、若手中心のこれからのチームである。
 セルティックスはそれでも持てる力を最大限に発揮し、ブルズにウィザーズを撃破してカンファレンスファイナルへ進出。試合数は要したが、今のセルティックスの戦力ならこんなものだろう。

 現在のキャブスはセンターをトリスタン・トンプソンに任せており、あまりサイズがない。ケビン・ラブもインサイドでパワーで押すタイプではない。概して大きなチームに苦戦する傾向があったように思う。
 しかし、セルティックスもまた小さなチームだった。ホーフォードはいい選手だがセンターとしてはアンダーサイズで、PFは人材不足。そうなると、キャブスとしては組み易い方の相手だったように思う。

 第1戦・第2戦とキャブスが圧勝。レブロン・ジェームズに今更プレッシャーがあるわけもなく、第1Qから「いつもどおり」のプレイをする彼を止める選手がセルティックスには見当たらなかった。さらにはエースのアイザイア・トーマスが怪我で第3戦以降を欠場。もはやスイープも時間の問題かと思われた。

 しかし第3戦はセルティックスが奮起。一時は20点差を付けられる厳しい展開も、少しずつ差を詰め、再度突き放されてもまた追い付き、最後は逆転。トーマスの代わりを務めたスマートのタフさに加え、最後のブラッドリーのシュートは神様がチップしてくれたように思う。
 一方のキャブスは、この試合でレブロンを45分出場させたマネジメントに疑問符が付く。リードを広げた時間帯もあったはずなのに、どうして3分しか休めないのか。レブロンは32歳となった今でもパワーとスピードが健在だが、スタミナだけは少しずつ衰えてきている。レブロン不在の時間をつなぐための「Big3」ではないのか。怪我人なしでこの状況では、後半に辛くなるのは目に見えている。

 続く第4戦。セルティックスは前半を10点リードで折り返し、一瞬、この第4戦を、ひいてはこのカンファレンスファイナルを勝ち抜けるかもしれまないと光明が見えたと思う。
 しかしそれは、同時に彼らにとって初体験の強いプレッシャーにもつながったようだ。さらに、この試合はレブロン・ジェームズが前半で4つのファウルを犯したことでかえって休息を得ることができ、終盤までスタミナ切れすることがなかったように思う。

 第5戦になれば、もう1つも負けられないセルティックスにかかるプレッシャーが重くなる一方だった。ロケッツの最後の試合のように、ある程度のリードを許すともう集中力が持続できず、相手に楽な試合をさせてしまった。



 さて、ファイナルの行方は。

 昨シーズンの同カードも、勝敗は紙一重だった。ドレイモンド・グリーンのレブロンへのファウルがフレグラントに格上げされ出場停止になってからウォリアーズはリズムを乱し、第7戦は逆にプレッシャーを受けた。しかし今年は昨年からさらに経験を重ね、より「いつも通り」の試合ができるのではないか。
 ウォリアーズには何よりも昨年と違ってデュラントがいる。昨年のファイナルはカリーのマークにレブロンが付く時もあり、流石にカリーがサイズに勝るレブロン相手にボールを持って1on1を仕掛けるのは辛かった。しかし今年は困った時にデュラントのアイソレーションに頼ることができる。今のウォリアーズのラインナップなら、デュラントをレブロンが守らざるを得ない。ここが互角であれば、その他のプレイヤーの差でウォリアーズ有利と見る。

 カリーはデュラントにマークが分散する分、昨年よりも自由に攻撃に専念できるだろう。ここまでトンプソンの得点が落ちているのは気がかりだが、プレイオフのハードな守備の中でキャッチ&シューターの彼の得点が下がるのは止むを得ないか。むしろ、彼には守備面での期待がかかる。アービングと、時にはレブロンともマッチアップしていく必要があるだろう。

 今のキャブスはベンチメンバーも豪華のはずなのだが、ティロン・ルーHCはこれまでベンチメンバーをあまり頼りにしていない。殆ど全てをレブロンに委ねている中で、ファイナルでいきなりベンチが爆発するほど簡単ではないのでは。
 このままレブロンが止まらなければ良いが、サイズに勝るデュラントやスピード型のトンプソン、百戦錬磨のイグドラとのマッチアップに対し、そうそう自由に攻撃できるのか。一方で、守備においてもエースキラーを務めるほど今のレブロンにスタミナはない。むしろ、レブロンの出場時間をいかに抑えて後半勝負につなげられるかだと思う。
 ラブはここまで3Pが好調だが、基本的に成功率40%を越えるプレイヤーではなく、さらなるプレッシャーのかかる場面で使えるかも微妙。ウォリアーズのスモールラインナップに対してトンプソンとラブの2人を起用するのが得策かも微妙なところである。
 攻撃面では、アービングがむしろレブロンを押し退けるくらいの存在感を見せる必要があると思う。ファイナルまでもう少し彼に頼って経験を積ませても良かったような気もする。

 ウォリアーズにとって心配なのは試合間隔が開くこと。スパーズとの第1戦もそれで苦労した。元々スロースターターのきらいもあるだけに。また、プレイオフで全く負けなかったがゆえに、本当にプレッシャーのかかる場面の予行演習が出来なかった点も少し気になる。
 キャブスはマッチアップをどうするかだ。トリスタン・トンプソンに対し、スクリーンからのカリーへのスイッチを多用されるのは目に見えている。一方でレブロンがウォリアーズの誰を守るのか。デュラント相手では体力を消耗しかねない。グリーンあたりにマッチアップさせて少々楽をしたいが、それだとラブが使えなくなる。

 個人的にはウォリアーズの方を応援したい。
 一昨年はキャブスのラブとアービングが早々に離脱しウォリアーズが勝利。昨年のウォリアーズはグリーンの微妙な欠場のほかにカリーやボーガッドの怪我も重なったこともあり、キャブスが勝った。今年は万全のプレイでキャブスを上回るところが見たい。もちろん、良いプレイをした方が勝つのであれば何の異論もないが。

 いずれにせよ、ファイナルの大一番では精神面が大きくものを言うだろう。
 ウォリアーズの面々はデュラントを除けば昨年に引き続きのファイナルであり、より平常心に近づけるだろう。ここまであまりにも順調に来た反動が若干心配ではあるが。
 一方のキャブスは、レブロンに関しては何も問題なかろう(ファイナルは7年連続である)。あとは、アービングやラブが肝心な所でどれだけ平常心を保てるか。これまで、キャブスはレブロンに頼り過ぎてきたきらいが若干あるので。


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