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『木根さんの1人でキネマ』(アサイ)・4巻 



 「批評」というジャンルの文章は、実は必ずしも客観的な立場に徹し切れているわけではない。
 そもそもの批評対象が「自分がの好きなもの」であることが多いので、そのジャンル自体を否定する結論を認めるには感情的な勇気が要る。そして、「自分」そのものが批評の射程に入った時、批評家は案外簡単に自己弁護に廻ってしまいがちである。

 今作『木根さんの1人でキネマ』は、極めて個人的な映画評を作中で垂れ流してきた。だけど、巻数が進むにつれて、次第に描写の対象が作品から個人に移ってきた印象がある。もちろん、ある程度作者に重ね合わせているのだろう。
 その中で、この巻の「22本目」は圧巻の巻だった。積み重なる一方のDVDの山に対し、感傷的なところに落とすわけでも言い訳をするでもなく、バッサリと切り捨てたのは驚いた。綺麗事でも自己弁護でもない。これまで、特定の作品をバッサリと切り捨ててきたのと同じトーンで「自分」に対しても似たことをやってきたのである。

 個人的には、作者の姿勢に対する信頼度(?)が一つ上がった感。
 前にも書いた通り、この作品のメインターゲットは「評論」的なことを考える人達であると思っている。それ故に、読者の多くは「自分の考え」を持っている。そういう人達にとって、「内外を区別しない」人の意見は、より信頼できるものではないだろうか。


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