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『恋は光』(秋★枝)・7巻 

 


 表紙を開けて最初の扉絵を見た瞬間に、今作の結末が見えます。
 この巻の東雲さんはとても可愛く(描かれていて)、今までの巻とは意図的に差を付けていたかと。これまで私にとってどこか垢抜けない感じかつ宙に浮いたような印象の否めなかった彼女でしたが、自分の嫉妬や独占欲のようなものを次第に意識するようになり、かつ想い人の前でゲロるという(彼女にとっては)最悪の経験を経て、逆に一皮剥けたような印象を強く感じました。
 そういう意味では、最後に西条の背中を押したのはまさにこの部分なんですよね。

 ……その上で、私は今作の結末に納得していません。
 私は今作をずっと北代の視線で視ていました。そのため、今作で最終的に描かれた内容を理解はしますが、決して納得はしません。

何だかんだで10年ちょいの付き合いだし
センセの返事に予想はついていた

いつもの店でいつも通りに
きっと最後だから覚えておこう
楽しかった色々を

 作中で描かれた「学習による恋」という北代の考え方は、私にとても近いものです。私は「恋愛」と「尊敬」をほぼ同じものと捉えていますし、本能的・肉欲的な部分をそれらと結び付ける考えは逆に未だに付いてきません。
 北代の考え方は今作終盤で明示化されたものなので、先にそういう考え方が示されていたから私が北代を見たという順序でもありません。双方の視点が作中で見事に合致したのだと思います。

 ……だからこそ、私は今作の結末に納得しません。確かに今作は東雲さんの考え方(いわゆる「本能による恋」)の部分も丁寧に説明していて、それは「わかる」のですが、最終的に私はそちらに乗れません。今作は、私の方に近い(北代の)思考を一つ一つ段を追ってトレースしておきながら、最後にそちらを選ばないのです。

 最終的に、西条と東雲さんが結ばれ、二人はその先へ進んでいきます。そういう意味では、確かに西条と北代との関係とは違うのです。

私はこのままの二人の関係が続けば良いと思ったのだ

 でも、それでも、この二人が最終的に「距離を置く」ことになってしまったのは猛烈に哀しかったです。なんでそれを願うだけではダメなのだろう……みたいな。北代のその後は描かれない(描きようがない?)だけに、さらに辛さが募ります。

 P107で、最後に彼女は「しばらく」距離を置こうと言いました。それはたぶん意識せずに加えられた一言。心の底で、その日の到来を願っていたのかどうなのか。

宿木「アンタさぁ、もう少し感情で考えなさいよ!」
北代「感情で考える、ほー、中々に深いことを言うなぁ」

 北代は、自分の流した涙に対しても「理由」を考えてしまいます。彼女は「辛さ」を口にしませんが、それは辛さが全く無いわけではなく、自分の感情を「考える」ことは出来ても、自分の生の感情を扱うことに慣れていない、ということなのではないかと。
 でも、そういう姿を客観視されたら、私(あるいは北代)のような人間にだって、そのことは「わかる」わけじゃないですか。そのことが余計に、今作の残酷さのように思えます。

 結局、最後まで「恋の光」の存在は北代によって良い方向に作用しませんでした。だから、このタイトルの作品で北代にとってのハッピーエンドは描かれないのかな……と思っていたところもありました。もし「恋の光」が無かったら、二人はそのまま結ばれていたのかな、と思います。
 最後にもう一度書きますが、私は今作の結末に納得していません。人は意識して「考える」ことは出来ても、意識して「感じる」ことはそう簡単ではないと思います。だからこそ、今作の結末は北代にとって(私にとっても)「どうにもならない」のです。


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