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2018年ロシアW杯ベスト16:ベルギーvs日本 

 私はこの試合を、日本代表よりもベルギー代表の方に肩入れして観ていた。

 私が生でサッカーの試合を観たのは1回、2015年1月1日のホワイト・ハート・レーンでの試合だ。あの試合に出場していた中には、クルトワ、フェルトンゲン、デンベレ、シャドリ、そしてE・アザールという5名の現ベルギー代表選手が居た。
 この試合はハリー・ケインがその年のチャンピオンであったチェルシーを相手に2ゴール1アシストと初めてブレイクした試合であったが、その中でもE・アザールの個人技は際立っていた。このメンバーの中でも敵陣を一人で切り拓いていった。

 ベルギー代表は、今回がワールドカップで優勝する最初で最後のチャンスだと思う。これほどのメンバーがベルギーに揃う機会はそうそう無い。今回を逃すと、たぶんもう数百年は無いだろう。

 次のベスト8はブラジルとの対戦が決まっていたが、彼らにとって圧倒的に大事なのはこの試合だ。そのため、日本戦では、怪我や疲労に加え、イエローカードの累積による欠場も絶対に避けなければならなかった。既にイエローカードを貰っていたフェルトンゲン、ムニエ、デ・ブルイネはこのチームに欠かせない存在で、しかも守備のウエイトの大きなポジションであり、私はむしろスタメンから外してもよいくらいに考えていた。
 なにせこの大会はドイツやスペインといった有力国が既に敗れており、もしブラジルにさえ勝てれば、あとはフランスとウルグアイの勝者+右側の山の勝者と、世界ランクでベルギーを上回る国はもう残っていない。もの凄い大きなチャンスなのだ。


 ベルギー代表はグループGを1位通過したが、戦い方には攻守ともにそれほど良くなかったように思う。
 アルデルワイレルト・フェルトンゲン・コンパニと実力者であるCBが3人揃ったのは確かで、マルティネス監督は3バックを採用した。しかし左サイドが人材難で、中盤の選手であるカラスコを入れていたが、あまり機能していない。E・アザールは本来ウイングの高い位置の方が活きる選手だと思っているが、それなら本当は4バックの方がよいような気がする。デ・ブルイネをボランチに入れるのも、彼のユーティリティ性ゆえに不可能ではないが、本来は右ウイングでボールを持たせたい選手かと。また、ヴィツェルがやや歳を取った感があり、ボランチとして物足りなさがあった。



 前半から、日本代表はベルギー相手にかなり自由にボールを持てたと思う。
 ベルギーはこのシステムだとトップ下が居ないので、ヴィツェルまたはデ・ブルイネがボールを持った時にパスを出す場所がサイドかCBに戻すしかない。日本がプレッシャーをかけるとけっこう簡単にボールを奪取できた。
 また、左サイドのカラスコが前がかりかつどうしても中に入ってしまい、E・アザールがボールを貰いに下がったりしてバランスを取らざるを得ない。最も突破力のあるプレイヤーとの1対1の機会がほとんどなく、決定的な場面はほとんど生まれなかった。
 日本としても前半は恐さを感じなかったのではないか。

 後半になって、いきなり試合が動く。
 右サイドを抜けた原口に対するフェルトンゲンのマークがルーズで(PKやイエローカードを恐れたか)、距離を詰め切れず、原口のシュートを許した。シュートはベストコースでクルトワでも如何ともし難かったかと。まさかの日本先制。

 さらには、中盤のボランチがスペースを空けてしまい、乾にこれまたいいシュート決められる。まさかまさかの0-2。

 これで流石に、ベルギーの選手の顔色が変わった。特にE・アザールの動きが変わった。左サイドでなかなか機能しないとみるや右に移り、スペースを得たことで次第に輝きを取り戻していく。
 そして、この試合では完全に消えていたメルテンスに代えてフェライニ、カラスコに代えてシャドリを投入。ほぼ4バックにして、サイド専業のシャドリが左サイドのラインに張り付く形に。

 その結果として右サイドのムニエからようやくクロスが上がり、フェルトンゲンが頭で折り返したボールが、ファーのサイドネットに吸い込まれる。日本にとってはあまりに不運な失点で、せめてもう少し時間が経過してからだったなら・・・。
 しかし、その遠因がGK川島の不安定さだったことも否定できない。彼はプレッシャーを受けるとすぐにキャッチを諦めてパンチングを多用するのだが、あまり距離を飛ばすことができず、結果して波状攻撃を喰らっていた。

 ベルギーは、シャドリの投入でE・アザールの役割が明確になり、より攻撃的になった。29分にアザールがこの試合で初めて縦に抜け、速いクロス。中央でフェライニが合わせてあっという間に同点。
 どうしても体格で劣る日本に対し、フェライニの高さはシンプルながら明確な武器だった。この場面では長谷部がフェライニに競り負けたが、フェライニにヘディングで勝るのは容易なことではない。
 
 ベルギーはアザールを中心にさらに攻めるが、ボールを失う場面が多く、日本も攻撃の形をそれなりに作ることが出来た。やはりヴィツェルのパフォーマンスが今一つで、ボールを奪えず、回せず、保持できず、あわやオウンゴールという場面まであった。
 メルテンスが居なくなったところにフェライニをそのまま入れたのは無策で、彼にサイド攻撃をさせるのは意味がない。それならデ・ブルイネとポジションチェンジをするべきだったと思うが・・・。

 90分が経過し、本田が放った距離のあるFKはクルトワが弾く。まだまだ余裕はありCKに。この時点でロスタイムもほとんど残っておらず、私を含め殆どの人は延長戦だと思っただろう。
 CKはクルトワがキャッチ。それほど急いでいたわけではなくデ・ブルイネの足元に転がしたが、ここでデ・ブルイネの前を空けてしまった。これは、日本守備陣のこの日最大の過失だった。
 デ・ブルイネは前にスペースのある状態でドリブルを仕掛けるのが最も持ち味のある選手だ。この日はボランチに位置したことで殆ど攻撃の起点になれなかった彼だが、最後の最後で自分の得意とする形でボールを持った。その高速ドリブルに対し、日本の誰もデ・ブルイデの前に立てない。DFを引き付けたところで右のムニエにパス。ムニエがゴール前にグラウンダーのクロスを入れた時点で既にアウトナンバーだった。ルカクが潰れながらスルー、後ろにはシャドリがいた(さらにその後ろにはE・アザールもフリーだった)。
 この失点は、日本の明確な過失だったように思う。いくら残り時間が少なく最後のCKに賭けたとはいえ、それまで一度も許さなかったカウンター・・・最もベルギーの得意な形を許してしまった。



 この試合のベルギーの試合内容は決して褒められるものではなかったが、怪我人はおろか1枚のイエローカードもなく90分で勝利するという、結果だけは最高のものが残った。
 以下、この試合のベルギー各選手の個人評。

GK:クルトワ
 2失点は両方ともノーチャンスだったと思うので及第点。一つ気になったのは、ロングフィードを蹴らずにボールを回そうとしていたのだが、結果してボランチのところでの手詰まり感を生んでいたような気がする。

DF:アルデルワイレルト
 3人のCBの中では最も安定していたような気がする。

DF:コンパニ
 負傷明けでコンディションがイマイチな印象は拭えなかった。次戦までにどうなるだろうか。

DF:フェルトンゲン
 1失点目は、ペナルティエリア内とはいえ、原口に対するチェックが甘すぎる。彼を左サイドバックに置ければ4バックを採用できるのだが、その前に振り切られており、スピードにへの不安は拭えない。しかしそれにしても得点は幸運だった。あのラッキーパンチが無ければここで終わっていたかもしれない。

MF:ヴィツェル
 ベルギーの6番をずっと担ってきた彼だが、盛りを過ぎた感は否めない。マーク、運動量、ボール回し、ホール保持、ミドルシュートといずれも物足りなかった。

MF:デ・ブルイネ
 90分間ほぼ何も出来なかったが、最後の高速カウンターは彼の真骨頂。それなら、最初からやはりウイングに置くべきだと思うのだが・・・。

MF:ムニエ
 及第点。次はネイマールと相対することになる。

MF:カラスコ
 やはり彼に左サイドを任せるのは無理では? 本来的に中盤の選手なので、E・アザールとどうしても重なってしまう。

MF:メルテンス
 最も出来が悪かった選手かと。存在を忘れていた。

MF:E・アザール
 リードされてから攻撃を組み立て直したのは流石。マークが激しく研究もされている中で、最低限の仕事はこなしたと思う。

FW:ルカク
 決定機を外した時もあったが、CFとしての役割は果たしていたかと。

MF:フェライニ
 彼の高さは古典的ながら武器であることを再確認した。日本相手ならもっと重用しても良かったような気がする。右サイドへ行くことになったのは采配の責任。

MF:シャドリ
 サイド専業の彼がカラスコに代わって、E・アザールと干渉しなくなった。そこをきちんと整理したという意味で個人的にはMOMを与えてもよいと思う。

監督:マルティネス
 交代は当たったが、そもそもスターティングメンバーがどうなのか?という気がしないでもない。3-6-1に固執した分、次のブラジル戦でいきなりシステムを変えるのは容易ではないが、ボランチをこのままヴィツェルで行くのか、デ・ブルイネをどう活かすのか、果たして思い切った手を打てるかどうか。

 いずれにせよ、ベルギーは唯一結果だけは最高のものを残した。
 次のブラジル戦は、日本と違ってネイマールという独断突破型の選手が居て、ムニエやアルデルワイレルトが抑えなくてはならない。SBもDHも強く、ボール奪取能力とボール保持能力は残ったチームの中で最も高いだろう。
 だが、繰り返せばここを勝てれば一気にチャンスは広がる。まだまだレベルアップしないとブラジルには勝てないような気もするので、残された日数の中で策を講じて欲しいと思う。


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